22日に47都道府県の人事委員会勧告が出揃った。
その内容は、民間企業の賃上げなどを踏まえて2024年度の職員の月給と期末・勤勉手当を引き上げるとしたもので、全都道府県が足並みをそろえる形となった。
人事確保の観点から、初任給の大幅増や若年層での引き上げに重点を置かれた勧告が大半だったが、これで、3年連続、引き上げを求める勧告が出されたことになる。
このような勧告となった背景には、公務員が抱える切実な3つの理由があった。
1 人材不足
少子化が進んでいることもあり、人材獲得競争は激化している。採用試験の申込者数は年々減少しているというのが現状だ。
若年層への支持を集めたい一方で、経験者採用枠などミドル世代をターゲットとした採用枠を設ける自治体も増えているが、ある程度の経験と実績を積んでいる人材が、あえて公務員という選択肢を選ぶ根拠は乏しい。
2 優秀な人材の流出
高い倍率をすり抜け、折角、公務員になったのだから定年退職まで勤め上げると言った常識は、もはや非常識となりつつある。
実際に、優秀な人材は民間へ転職することが珍しくない。公務員というある意味で思考停止を求められる環境よりも、自分の能力をより発揮できる場所を求めることは自然なことにも思える。
3 昇進する事への消極的な風潮
管理職になることで個人の負担が激増するという不安も払拭しきれない。
ワークライフバランスを考えた時に、管理職を目前に退職を選択せざるを得ない女性職員を引き止める一つの口実作りと言った一面もあるかもしれない。
人事委員会勧告の背景には、これらの理由がある。しかしながら、勧告が出されたからと言って、必ずしも実施されるわけではない。
ある集計によると、職員のうち行政職の月給の平均改定率は、千葉の3・30%が最大で、京都の3・25%、青森の3・22%と続いた。最小は新潟の2・29%だった。
地方公務員の給与増は地域経済に好影響を与える一方、財政負担が増す。各知事と議会は今後、勧告通り改定するかどうかを判断することになる。